シブカル祭 2015.10.16[fri] - 10.25[sun]

女子が集えば世界が変わる!?

INTERVIEW

vol.

ぬQ

ぬQ

絵画・まんが・アニメーション作家

第18回学生CGコンテスト最優秀賞受賞に選出された『ニュ〜東京音頭』をはじめ、理解の範疇を越えてしまう作品が持ち味の「ぬQ」。第1回目のインタビューは、「シブカル祭。」への参加が3回目となる気鋭の作家「ぬQ」に突撃します!

Q.1最近の主な活動状況を教えてください。

オリジナルの作品制作とクライアントワークを並行しています。最近ですと「Space Shower TV」の特別企画「1:1(one by one)」でのインスタグラムのアニメーションや、ロックバンド・チャットモンチーのPVの制作などをしました。現在は、文化庁の助成金制度で新作オリジナルアニメーション制作に取り組んでいる最中で、今年中に完成させるのが目標です。

「Space Shower TV」の企画で発表した映像

Q.2現在の活動にいたるまでの経緯を教えてください。

小学5年生で初めてCGに触れました。ペンタブレットを両親に買ってもらったのがきっかけです。最初は上手に使えずにすぐ嫌になってしまったのですが、当時はペンタブレットが今よりもかなり高価だったため、ちゃんと使わないと両親が悲しむと思いまして(笑)。中学生になってPhotoshopを使い始めました。このとき作った簡単なGIFアニメが人生初のアニメーションです。当時好きだったキャラクターを動かして楽しんでいました。その時はお遊び程度でしたが、美大に進学し授業でアニメーションに再会し、自分の絵が動くことに素直にもう一度感動しました。それで、もう少し本格的に勉強しようと思い、今にいたります。

Q.3今の自分に影響を与えた人を教えてください。

中高校時代に入り浸っていた「お絵かき掲示板」で出会った人たちです。そこには、自分より絵の上手な人がたくさんいて、その絵を見ながら研究していました。それまで身近な人にしか絵を見せる機会がなかったので、褒めてもらっても少し物足りなかったのですが、ネットだと、面識の無い人がコメントをくれるので、それが嬉しくて。投稿の際適当に決めた名前が「ぬ」だったんです。でもそのままじゃ単純すぎてまずいなと思って「Q」をつけてみました。こんなに長く使うつもりじゃなかったのに気づけば「ぬQ」も10年選手です。

Q.4いま興味を持っていることはなんですか?

部屋の片付けです。実は私の部屋はとても散らかっていて、熱帯雨林のように小物や服や生活雑貨が生い茂っていました。そこで、「片付けのカリスマ」こと近藤麻理恵さんの本に従ってみたところ、部屋中がピカピカになって自分でもびっくり。本当に綺麗になりました。それまでは、何か新しい情報を得て創作に生かしたいという考えがありましたが、今は不要なものを判断して捨てる、という方向に興味があります。ただ、思考も少しだけシンプルになってしまったので、作風に影響が出ちゃうとまずいですね。

Q.5作品制作において気にかけていることはなんですか?

クライアントさんがいる場合は、「ぬQ」が期待されていることをしっかり考えて、精一杯応えることです。同時に、私自身が満足できる水準までは必ず持っていきたいです。特にアニメーションは、仕事でもあるけれども、ひと月まるまる時間をとられることもあり、その作品が今月の私の生きた証になることが多いので……。

Q.6映像作品の展示についてどう思いますか?

常にベストな状態で作品を見せたいと思っていますが、映像は環境次第で見え方が違ってくるものなので、絶対という拘りはありません。映像のために空間を暗くするとほかの作品が見づらくなってしまうし、その逆もしかりなので、いつも悩んでいます。でも環境によるアクシデントは意外と面白くて気に入っています。春に沖縄で開催した個展『リョ〜ヨ〜』ではトイレットペーパーに映像作品を投影しました。プロジェクターの熱で紙がピラピラするし、おしりを拭くものをみんながじ〜っと観ているし、その光景がおもしろかったです。

沖縄の個展「リョ〜ヨ〜」の映像作品展示風景

 

Q.7女子クリエイターについてどう思いますか?

女子クリエイターは、本人も前に出てくるような印象がありますよね。作家自身にもキャラがある。でも、その勢いは長くは続かないのかなって漠然と思っています。若い女性だから面白がってくれるのではなく、作品が勝手に広がっていくのが理想。私はあくまでも裏側にいて、作品が主役になってくれるように頑張って作りたいです。

Q.8渋谷という街に対する想いを教えてください。

世界で一番好きな街です。語り出したらきりがないです(笑)。いろんな顔を持ち、あらゆる層の人がいて、その人たちが求めるものがすべて手に入る。パルコの周辺の人は、自分の考えを含んだおしゃれをしているから、原宿や表参道ともひと味違いますよね。昔、トルコ旅行中に友人と2人で強烈なホームシックにかかったことがあります。そのとき2人で、「こうなったらもう東京へ帰ろう。どこがいい?(涙)」って妄想帰国が始まって、帰りたいと思った場所が渋谷だったんです。それ以来、世界一好きな場所は「渋谷」と答えています。

Q.9「シブカル祭。2015」への意気込みをどうぞ。

いま、シブカル祭。の告知映像を制作中です。バンコクでのシブカル祭。で出会った、中里周子さんの手がけるファッションブランドNORIKONAKAZATOとコラボして、中里さんの世界観をアニメーションに落としこんで動かしています。10月の展示でも、それをさらに展開したいな。ファッションやジュエリーブランドとコラボするのは私の夢ですし、キラキラ感を表現するのに映像は適しているんです。まだまだ構想段階なので、あれもこれもってアイディアを膨らませています。キレイとオモシロイが共存しているものが好きなので、中里さんのかわいくてファニーな造形は私の作品制作の根幹に通じるものがあるなと感じています。

Q.10今後の目標を教えてください。

絵画・まんが・アニメーションの3本軸で変わらず続けていきたいです。昨年、仕事で渋谷のワイドビジョンに作品を上映してもらったことがありました。望んでいたことだし、実際に大々的に作品が着地してすごく嬉しかったんですが、でもそれはいろいろな人のサポートの結果だし、私自身の作業は、スクリーンやポスターの大きさに関わらず同じだということがわかりました。まずは自分が地道にいい作品を作らなければと思います。作品自体が魅力的なら、みんな喜んでくれるし、自分自身も満足できると思っています。

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