くいしんぼうシスターズ

ケータリングユニット
音楽ファンならライブ会場で見かけたことがある人も多いのではないでしょうか? ポップで愉快なごはんから、ほっと安心できる家庭の味まで、その幅広い食メニューでじわじわと人気を集めている2人組。実は管理栄養士という一面も持つケータリングユニット“くいしんぼうシスターズ”のユキさんとナオさんにお話を伺いました。
現在の活動に至るまでの経緯を教えて下さい。
ユキ:私たちは栄養大学時代の同級生なんです。シブカルにも参加してて有名になったDJみそしるとMCごはんさん(以下・みそ先輩)が大学の先輩で、先輩が卒業制作でお料理ラップを初めて披露した時に、衝撃を受けてしまって。
ナオ:すぐに2人で「今度何かする時はぜひお手伝いさせてください!」とお願いしました。そしたらさっそく、みそ先輩の次のライブで、助手「おまんじゅうシスターズ」として登場させてもらいました。
ユキ:黒子的に何度かお手伝いしているうちに、音楽業界の方々とお話をする機会が増えて、「栄養大学に通っていて料理もできます」って話をしたら、「じゃあ今度、ライブのケータリングをやらない?」ってお誘いいただき、ケータリング活動を始めました。
現在の活動について教えて下さい。
ユキ:ライブハウスなど、主に音楽関係のイベントに出店することが多いです。バンドの方や、ライブハウスの方のつながりで、いろんなところからお声がけしてもらえるようになりました。
ナオ:料理メニューは、「私たちはコレ!」と決め込んでいなくて、そのイベントのテーマに関連づけたり、そのとき自分たちが影響を受けたものを自由に作っています。
ユキ:新宿MARZのALPSというイベントでマッサマンカレーを作った時は手応えを感じましたね。リピーターが続出して、単純に嬉しかったし、おいしいものができたっていう自信になりました。
ナオ:私はブリ大根を作った時が印象に残ってます。ライブハウスでブリ大根!?ってみんな驚いてくれるのが面白かった。ライブ会場に、おふくろの味の匂いがぷんぷん漂ってたのは不思議な感覚でしたね(笑)。
今の自分に影響を与えた人物を教えて下さい。
ユキ:みそ先輩です。私たちふたりとも、音楽好き、料理好きで、なかなか結びつかないその2つを融合させたみそ先輩は画期的だと思います。あと、ケータリングをやりたいって思ったのは、ケータラーの山フーズさんの影響もあります。
ナオ:みそ先輩ももちろんだし、今の活動のきっかけとしてはユキちゃんの影響がすごくあります。ケータリングについて何も知らなかった私を誘ってくれたことに対して、すごく感謝してます。
今考えていることはなんですか?
ユキ:音楽だとテクノとかジューク、フットワークにすごく興味があります。あとはライオンにお肉をあげること(笑)。『おさるのジョージ』という絵本のライオンにお肉をあげるシーンが突然フラッシュバックしてしまって、最近は、そればっかり考えています。この前、餌やり目的で動物園に行ったのに、遅い時間だったからか挑戦できずだったので、リベンジしたいです。
ナオ:私は、自給自足生活です。都会のビル群が得意ではなくて、田舎で農業したいって憧れがあります。でもきっと自給自足生活の中で「管理栄養士」って必要ないんですよね。その時季に採れるもので最低限の暮らしをするから、メタボとか糖尿病になることも少ないはず。管理栄養士としてはちょっと複雑ですが、勉強になる部分はたくさんあると思います。あと、長田弘さんの詩集がすごく好きです。読んでいると哲学的で思わず考えさせられてしまいます。
活動する上で意識していることはありますか?
ユキ:栄養士だから、やっぱり衛生面にはとても気をつけています。安心して食べてもらうためには、知らなきゃいけないことがたくさんあるなって実感していますね。あとは料理に私たちの目印をつけること。旗を立てたり、包装紙にスタンプを押したり。テーブルを装飾して、出店ブース自体の見栄えも工夫するようにしています。
ナオ:栄養について勉強してきたけど、必ずしもそれだけが正しいとは限らないって思うようになりました。大学で学ぶ栄養って、いわゆる体の栄養のこと。科学的な部分が大きいんです。五感のなかの味覚って一番曖昧な感覚なんですよね。誰と、いつ、どこで食べるかで、おいしいかどうかが左右されるじゃないですか。楽しかったらやっぱりおいしい。だから体の栄養だけでなく、そういう心の栄養もちゃんと意識したいなって思います。
「シブカル祭。」についての印象を教えて下さい。
ユキ:シブカル祭。に出ることが本当に夢だったんです! さまざまな方面の人たちの個性がぐちゃぐちゃしてるのにひとつに集まって、自分の持ち味を出しながらキラキラ輝いている印象。だから本当に嬉しいです。
ナオ:WEBサイトにプロフィールが掲載され、“クリエイター”として紹介されたことに感動してしまいました。「ク、ク、ク、クリエイター!!」って。私たち自身は普通の子として、雑草みたいなものだって思っていたので、植木鉢に植えてもらえたような気分です。
ユキ:お陰さまで、一段階うえの自信や誇りが持てました。“フードクリエイターのくいしんぼうシスターズ”としてこれからももっともっと頑張らないと!
今後の目標を教えて下さい。
ユキ:音楽×料理の可能性は探っていきたいです。食材を切る、煮る、焼くときの音を録って何かできないかなとか考えています。たとえば調理映像と合わせたVJとかも面白そう。
ナオ:ワークショップもやってみたいです。私は保育園で働いていて、食育で子どもたちと一緒にごはんを作ったりするのですが、苦手な食べ物でも気持ちがこもると食べられちゃうんですよ。それってきっと大人に向けても言えることだと思います。子どもから教わることは本当に多いですね。
ユキ:ワークショップいいね! みんなでうどん踏んだりしても楽しそう! あとは売り歩きしてみたいですね。駅弁売りとかビールの売り子みたいな感じで、いろんなところを旅するのもいいかも。
ナオ:シブカルに参加したことで、音楽とはまた違うつながりも持てるのではないかと楽しみにしています。根本的には、食べながらしっかり栄養を摂れて健康になれるような活動をしていきたいです。ビバ・健康! ビバ・栄養!