シブカル祭 2015.10.16[fri] - 10.25[sun]

女子が集えば世界が変わる!?

INTERVIEW

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ぬQ

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ぬQ

ぬQ

絵画・まんが・アニメーション作家

第18回学生CGコンテスト最優秀賞受賞に選出された『ニュ〜東京音頭』をはじめ、理解の範疇を越えてしまう作品が持ち味の「ぬQ」。第1回目のインタビューは、「シブカル祭。」への参加が3回目となる気鋭の作家「ぬQ」に突撃します!

Q.1最近の主な活動状況を教えてください。

オリジナルの作品制作とクライアントワークを並行しています。最近ですと「Space Shower TV」の特別企画「1:1(one by one)」でのインスタグラムのアニメーションや、ロックバンド・チャットモンチーのPVの制作などをしました。現在は、文化庁の助成金制度で新作オリジナルアニメーション制作に取り組んでいる最中で、今年中に完成させるのが目標です。

「Space Shower TV」の企画で発表した映像

Q.2現在の活動にいたるまでの経緯を教えてください。

小学5年生で初めてCGに触れました。ペンタブレットを両親に買ってもらったのがきっかけです。最初は上手に使えずにすぐ嫌になってしまったのですが、当時はペンタブレットが今よりもかなり高価だったため、ちゃんと使わないと両親が悲しむと思いまして(笑)。中学生になってPhotoshopを使い始めました。このとき作った簡単なGIFアニメが人生初のアニメーションです。当時好きだったキャラクターを動かして楽しんでいました。その時はお遊び程度でしたが、美大に進学し授業でアニメーションに再会し、自分の絵が動くことに素直にもう一度感動しました。それで、もう少し本格的に勉強しようと思い、今にいたります。

Q.3今の自分に影響を与えた人を教えてください。

中高校時代に入り浸っていた「お絵かき掲示板」で出会った人たちです。そこには、自分より絵の上手な人がたくさんいて、その絵を見ながら研究していました。それまで身近な人にしか絵を見せる機会がなかったので、褒めてもらっても少し物足りなかったのですが、ネットだと、面識の無い人がコメントをくれるので、それが嬉しくて。投稿の際適当に決めた名前が「ぬ」だったんです。でもそのままじゃ単純すぎてまずいなと思って「Q」をつけてみました。こんなに長く使うつもりじゃなかったのに気づけば「ぬQ」も10年選手です。

Q.4いま興味を持っていることはなんですか?

部屋の片付けです。実は私の部屋はとても散らかっていて、熱帯雨林のように小物や服や生活雑貨が生い茂っていました。そこで、「片付けのカリスマ」こと近藤麻理恵さんの本に従ってみたところ、部屋中がピカピカになって自分でもびっくり。本当に綺麗になりました。それまでは、何か新しい情報を得て創作に生かしたいという考えがありましたが、今は不要なものを判断して捨てる、という方向に興味があります。ただ、思考も少しだけシンプルになってしまったので、作風に影響が出ちゃうとまずいですね。

Q.5作品制作において気にかけていることはなんですか?

クライアントさんがいる場合は、「ぬQ」が期待されていることをしっかり考えて、精一杯応えることです。同時に、私自身が満足できる水準までは必ず持っていきたいです。特にアニメーションは、仕事でもあるけれども、ひと月まるまる時間をとられることもあり、その作品が今月の私の生きた証になることが多いので……。

Q.6映像作品の展示についてどう思いますか?

常にベストな状態で作品を見せたいと思っていますが、映像は環境次第で見え方が違ってくるものなので、絶対という拘りはありません。映像のために空間を暗くするとほかの作品が見づらくなってしまうし、その逆もしかりなので、いつも悩んでいます。でも環境によるアクシデントは意外と面白くて気に入っています。春に沖縄で開催した個展『リョ〜ヨ〜』ではトイレットペーパーに映像作品を投影しました。プロジェクターの熱で紙がピラピラするし、おしりを拭くものをみんながじ〜っと観ているし、その光景がおもしろかったです。

沖縄の個展「リョ〜ヨ〜」の映像作品展示風景

 

Q.7女子クリエイターについてどう思いますか?

女子クリエイターは、本人も前に出てくるような印象がありますよね。作家自身にもキャラがある。でも、その勢いは長くは続かないのかなって漠然と思っています。若い女性だから面白がってくれるのではなく、作品が勝手に広がっていくのが理想。私はあくまでも裏側にいて、作品が主役になってくれるように頑張って作りたいです。

Q.8渋谷という街に対する想いを教えてください。

世界で一番好きな街です。語り出したらきりがないです(笑)。いろんな顔を持ち、あらゆる層の人がいて、その人たちが求めるものがすべて手に入る。パルコの周辺の人は、自分の考えを含んだおしゃれをしているから、原宿や表参道ともひと味違いますよね。昔、トルコ旅行中に友人と2人で強烈なホームシックにかかったことがあります。そのとき2人で、「こうなったらもう東京へ帰ろう。どこがいい?(涙)」って妄想帰国が始まって、帰りたいと思った場所が渋谷だったんです。それ以来、世界一好きな場所は「渋谷」と答えています。

Q.9「シブカル祭。2015」への意気込みをどうぞ。

いま、シブカル祭。の告知映像を制作中です。バンコクでのシブカル祭。で出会った、中里周子さんの手がけるファッションブランドNORIKONAKAZATOとコラボして、中里さんの世界観をアニメーションに落としこんで動かしています。10月の展示でも、それをさらに展開したいな。ファッションやジュエリーブランドとコラボするのは私の夢ですし、キラキラ感を表現するのに映像は適しているんです。まだまだ構想段階なので、あれもこれもってアイディアを膨らませています。キレイとオモシロイが共存しているものが好きなので、中里さんのかわいくてファニーな造形は私の作品制作の根幹に通じるものがあるなと感じています。

Q.10今後の目標を教えてください。

絵画・まんが・アニメーションの3本軸で変わらず続けていきたいです。昨年、仕事で渋谷のワイドビジョンに作品を上映してもらったことがありました。望んでいたことだし、実際に大々的に作品が着地してすごく嬉しかったんですが、でもそれはいろいろな人のサポートの結果だし、私自身の作業は、スクリーンやポスターの大きさに関わらず同じだということがわかりました。まずは自分が地道にいい作品を作らなければと思います。作品自体が魅力的なら、みんな喜んでくれるし、自分自身も満足できると思っています。

梨凛花〜rinrinka〜(苅田梨都子)

苅田梨都子(梨凛花~rinrinka~)

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苅田梨都子(梨凛花~rinrinka~)

苅田梨都子(梨凛花~rinrinka~)

ファッションデザイナー

昨年、坂部三樹郎、山縣良和がプロデュースする、若手デザイナーを集めたプロジェクト「東京ニューエイジ」に参加し、その独特な世界観が話題を呼んだ「梨凛花~rinrinka~」。今年のシブカルファッション夜(ナイト)。でランウェイショーを披露するデザイナーの苅田梨都子に突撃インタビュー!

Q.1活動状況について教えてください。

2015AWシーズンの展示会を中野にあるギャラリーで行いました。以前は小物をメインに制作していたので、季節に沿った商品を展開し、即売発表するサイクルでやっていましたが、ショーやインスタレーションに参加させてもらう機会がふえ、最近ではシーズンを先取った、年2回の発表がメインになっています。また、梨凛花~rinrinka~(りんりんか)では、地方に住んでいて、なかなか可愛いものや欲しいものをお店で買えないお客さんにも届けられるように、WEBでの販売にも重点を置いていて、そこでも継続的に作品を発表するようにしています。制作から発送までをほぼ一人でやっているので、時間が掛かって大変ですが、そういう丁寧な気持ちを大事にしていきたいなと思っています。

 

Q.2現在の活動に至るまでの経緯を教えてください。

岐阜県の山に囲まれた田舎町で育ちました。母親が和裁師だったこともあり、布で何かを作る行為を、小さい頃から目にしていたと思います。そういう環境で育ったので、高校も服飾科がある学校に通い、卒業後は上京してバンタンデザイン研究所に入学しました。そこで、講師をしていた坂部三樹郎さんと出会い、ジェニーファックスでインターンをすることになりました。卒業の年には、学校の講師から声をかけてもらい、渋谷パルコ PART3の期間限定ショップnyfvuljin(ニンフブルジン)に作品を出展。その時がブランドとしてのスタートですね。その後、卒業と同時にブランドを本格的にスタートし、自分のペースで活動をしています。

 

Q.3今の自分に影響を与えた人はいますか?

和風で古典的なものに惹かれるのは、母の影響が強いと思います。でも、昔から今のような和を感じさせるスタイルだったわけではなく、高校生の時はもっとキラキラしたファンシ―なものが好きでした(笑)。上京してから、もともと自分が持っている古風な部分とか、幼少期から触れていた和裁の要素に惹かれるようになりました。自分自身の経験やバックグラウンドを見つめ直すことで、徐々に自分の今のスタイルになってきたんです。

Q.4今シーズンのコンセプトは?

2015AWシーズンは、自分で考えた造語「花守小町」がテーマになっています。女の子同士の独特なやりとり(行為や状況など)をテーマに作品を作りまし た。女の子なら一度は友達と手紙の交換をしたことがありますよね? その、もらったときの嬉しさを表現したいと思ったのが始まりです。日常の中にある些細なことかもしれないけど、こういう小さな行為に安心したり、喜びを感 じるのって、女の子特有のものだと思うんです。同性同士の親密な関係性だからこそできることというか。そういう女の子が集まることで生まれるコミュニケー ションや、独特な場のムードを表現できたらと思いました。デザインとしては、パッチワークなどで布を繋げ、洋服の表面を仕切ることで“守る”イメージを 作ったり、2つをつなぐような要素をディテールに落とし込みました。そして、より一層強く世界観を伝えるために、シーズンヴィジュアルの写真にも、テーマ につながる要素を忍ばせています。

「花守小町」(2015)/photography:Natita Ito model:Saki、Sahiro hair&make:Risako Yamamoto

Q.5今後、どのように活動していきたいですか?

ランウェイショーだけではなく、個展や展示販売なども大切にしていきたいと思っています。前シーズンは、お茶を飲みながら楽しんでもらえるよう、喫茶店で展示会を行いました。今後も、お客さんや私自身が、その空間を楽しめるような展示をしたいです。見るだけではなく、いろいろ感じてもらえるような空間を作りたいですね。

Q.6自身を含め、現代の女性クリエイターについてどう思いますか?

最近は昔とは違い、誰でも簡単に物作りをして公開できる環境になってきたと思います。それに作品だけではなく、作り手自身に素敵な人が本当に多い。発信する側が魅力的で興味をそそられる人が多く、そういう人の作品はやっぱり素敵だと思います。

自分自身が作ることを楽しむことが一番重要だと思っているので、誰かと比べるのではなく、穏やかに、かつ、芯は強く、自分のペースでやっていけたらいいなと思っています。作りたい!と思う気持ちが最初に沸いてこないと難しいですからね。

Q.7「シブカル祭。」に出展する作品について、構想があれば教えてください。

自分自身の内面や、育ってきた環境などをテーマにした物作りをしていきたいです。どうしても自分から距離のあるものはテーマにできないので(笑)。今までも女の子にまつわるものを表現してきましたが、それを継続しながら、また違った目線で表現できたらと思っています。

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南阿沙美

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南阿沙美

南阿沙美

写真家

シブカル祭。初参加となる南阿沙美。2014年度写真新世紀で優秀賞を受賞した代表作『MATSUOKA!』をはじめ、独特の視点で切り取られたユニークな写真が持ち味の彼女。写真家としてのスタートから、シブカル祭。への意気込みまで、南阿沙美の「今」にまつわるお話しを伺いました。

Q.1現在の活動に至るまでの経緯を教えてください。

高3までバリバリの陸上部で進学のこともあまり考えていなかったんですが、夏休みにふらっと入ったギャラリーで現代美術に出会いました。ペン1本で絵を描いている作家さんの作品展で、「あ、これもありなんだ」と驚いて。もともと絵を描くのが好きだったので、「だったら私もやりたい、できるかも」と思い美大を目指しました。

そして、美大の授業で写真に触れたことがきっかけで撮り始めましが、もともと写真をずっとやるつもりも、大きな夢や目標があったわけでもなく、卒業後は全然関係のない仕事をしながら好きなように撮っていました。26歳になる少し前に北海道から上京してからも、3年くらいは相変わらず好きなように撮っているだけで。でもその後、毎日撮りたいなと思うようになり、写真を仕事にしようと、約3年間、写真スタジオに勤め、1年くらい前にフリーになりました。今は作品としての撮影もお仕事での撮影もできていて、写真を撮るといううえでとても自由になりました。

Q.2今の自分に影響を与えた人/作品/出来事を教えてください。

いっぱいありますが、アーティストや作家よりは、友達とか、その時々に出会った人ですね。あの人みたいになりたいとか、あの人に認められたいとかはないかも。写真家に憧れると作品を意識しちゃうのでよくないし。

荒木経惟さんや佐内正史さんなど好きな写真家はいます。でも、その人たちみたいな写真が撮りたいというわけではなくて。彼らの写真集などで作品を見た後に顔を上げると、それまで見ていた写真の世界が圧倒的で、戻れなくなる感覚になります。

Q.3代表作はどういう作品ですか?

『MATSUOKA!』と、ほぼ同時期に撮り始めていた『親子写真入門』というシリーズが、今、ある程度見せられるようになってきました。『MATSUOKA!』は完結していますが、『親子写真入門』はまだ続いています。

『MATSUOKA!』で、初めて写真新世紀(2014年度)に応募したんですが、「これで選ばれなかったらおかしい」と思っていました(笑)。選ばれなかったら、よっぽど私の作品が今の時代に合っていないんだなと。なので、賞をいただいて、作品への自信と言うより、私が面白いと思ったものは面白いんだ、自分の判断が合ってたんだっていう自信がつきました。

        『MATSUOKA!』シリーズより

『親子写真入門』シリーズより

Q.4作品を発表するときに気をつかうことは何ですか?

展示する場所とサイズはすごく大事ですね。一番気を使うのは、見る人の入りやすさ。力の与えやすさと言うか。観客が1枚の写真と向かい合ったときに、ドンッと見えるようにしています。見せる責任っていうのがあると思うんです。埋もれてしまったらその作品もかわいそうだし、ちゃんと見た人の中に残るものにしたいです。

Q.5これからどんな表現をしていきたいですか?

写真って難しいと思われることが多くて。作品を見る側に、そこから意味を捉えないといけないんじゃないかというプレッシャーがあるらしいんです。でも私はそういうのはあまり気にしてなくて、「面白い」とか「なんかいいよね」とか、感想に困らない写真を見せていきたいですね。それと、私、有線放送に嫉妬してて(笑)。これは保留中なんですが、コンビニで展示してみたいんです。コンビニでかかってる有線放送って、音楽を好きじゃない人も聞いていて、自然に入ってくる。そんなふうに、写真を特に好きじゃない人でもついつい見てしまったり、ちょっと気になったりする。そういう展示をしたいです。

Q.6いま、興味を持っていることは何ですか?

「言葉」ですね。私は意外と保守的なところがあって、写真は写真だけで勝負しなくてはいけないと思っていたんです。写真とポエムを組み合わせた作品もありますが、あのお互いを支えあっているようなところがあまりいいと思えなかった。でも、もともと文章を書くのは好きで、短歌を詠んでいたりしたので、写真とは別に言葉を使った表現をやっていきたいなと思っていました。

以前、画家の山口晃さんの取材撮影をさせていただいたときに、山口さんが「ジャンルはこれと決めずに、作りたいものを作ればいいと思うんですよね」というようなことを仰っていて。その後水戸芸術館での個展へ行ったら、絵はもちろんなんですが、インスタレーションの作品がめちゃくちゃよかった。「やっぱり作りたいものを作ろう!」って思えました。

Q.7「シブカル祭。」に出展する作品について、構想があれば教えてください。

『MATSUOKA!』を見せたいというのもあるんですが、短歌とか、言葉を使ったこともやってみたいですね。できるだけ大きめのプリントで見せるとか。あとはせっかくなのでお客さんの撮影もしたいなと思っています。『MATSUOKA!』の衣装を着てもらって撮影して展示して、その人が後からまた見に来れてみたいな、日をまたいで関われるというのをやりたいです。私に撮って欲しいと言っていただけるとも多くて。それが、すごく嬉しいんです。

Q.8現代の女子クリエイターについてどう思いますか?

実はなんで男女を分けるんだろうって思ってるんです。陸上をやっていたときは、体の作りが違うので当然差はあったんですが、ものづくりに関して性差はないと思っています。女性らしい表現とか男らしさとか傾向はあると思うんですが……。でも、女の子って強い。すごく立派だと思う。女の子はある一定のラインを超えたら無敵感がすごいし、すごい力を持っていると思います。男の人は隠そうとするけど、弱いところをなんとかしようとすることころもすごい。女の子は勝手にやるからほっといても大丈夫って思いますね(笑)。

Q.9「シブカル祭。」への意気込みをどうぞ。

楽しませたいです! 無差別に楽しませたい(笑)。今後の目標としては、とにかく大勢の人に写真を見せたいです。見せびらかしたいというか、自分の撮った写真を有線放送みたいに人目に触れさせたいです。

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惣田紗希

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惣田紗希

惣田紗希

グラフィックデザイナー、イラストレーター

インディーミュージック関連のデザインを中心に手がけるクリエイター・惣田紗希がミツカルTに参戦! グラフィックデザイナーとして活動するかたわら、フラットな表情の女の子をモチーフにしたイラストで注目度上昇中の彼女に、最近の活動や創作への思いを聞いてみました。

Q.1現在に至るまでの経緯を教えてください。

デザインの専門学校を卒業後、しばらく書籍デザインの事務所で実用書をデザインしていました。会社をやめた時期とほぼ同じタイミングに、学生時代の同級生の柳智之くんが所属していたインディーズバンドceroのヴォーカルをやっている髙城晶平くんに声をかけられて、1stアルバム『WORLD RECORD』のジャケットデザインを手がけました。ceroつながりで音楽関係の仕事が増え、今もいろいろデザインさせてもらっています。女の子のイラストはザ・なつやすみバンドというバンドのアルバムジャケットで初めて登場しました。

Q.2デザイナーとイラストレーター、どちらの仕事が多いですか?

五分五分くらいですね。イラストだけを依頼されることもあるし、構成からイラストまですべてやることも。デザイナーとしてほかのイラストレーターさんに発注することもあります。ceroの1stアルバム『WORLD RECORD』と2ndアルバム『My Lost City』、ザ・なつやすみバンドの1stアルバム『TNB!』と2ndアルバム『パラード』のジャケットは特に思い入れが強いです。この2組については音楽家と直でやり取り出来るので、お互い意見を出し合って納得いくまでつくれて大変だけどすごく面白いです。

 

(左から)ceroの『WORLD RECORD』、『My Lost City』、ザ・なつやすみバンドの『TNB!』、『パラード』

 

Q.3今の自分に影響をあたえた人や作品を教えてください。

高校時代に雑誌『BRUTUS』や『STUDIO VOICE』を知り、エディトリアルデザインに興味を持ちました。Capの藤本やすしさん、雑誌『ku:nel』の有山達也さん、羽良多平吉さんなど、1990~2000年代のグラフィックワークから、たくさんの刺激を受けました。その後イラストの仕事も増え、デザイナーで在りたいけどイラストを描いていていいのか悩んでいた時期もあったのですが、宇野亜喜良さんや横尾忠則さんみたいに、昔はグラフィックデザイナーをしていたけど今は作家性の強い作品を描く人もいるんだって知って、とりあえず成り行きに任せてみようというモチベーションに変わりました。

 

Q.4女の子のイラストレーションはいつ頃描き始めましたか?

仕事で発表する前からで、実は7年くらい。前は漫画家になりたかったのですが、漫画って物語も構図も絵も、すべての要素が必要な総合芸術で、すごく難しい。しかもすべてが面白くないとだめ。「あ、無理だ」ってあるとき思ったんです。でも絵を描くことは好きだったので、女の子をずっと描いていました。最初は表情もしっかりあったのですが、身体の動きやフォルムの方に自分の興味が向いていることに気づいて、顔はもういいかなって(笑)。学生時代に出会ったRosas danst Rosasというダンスカンパニーからもすごく影響を受けています。同じ衣装の人たちが同じ動きをするコンテンポラリーダンスで、ミニマムな雰囲気がすごく美しいと思いました。その感動が今の画風につながっているかもしれません。

 

Q.5ミツカルTシャツの制作意図を教えてください。

ゆるく、自分らしく描きました。「しぶや」と文字を平仮名にしたのは、柔らかい印象にしたかったから。可読性ギリギリのラインを狙ったデザインです。山あり谷あり、ぐにゃぐにゃしていて入り組んだ、渋谷パルコの周りの道路がイメージ。実は通っていた専門学校も勤めていた事務所もパルコの近くにあったので、上のレストランフロアでラーメンを食べたり、地下一階の書店には週に何度も通ったり……、あの辺りにはすごく馴染みがあるんです。渋谷パルコは私にとって買い物に行く場所っていうより、日常の中にある場所だったんですよね。

 

Q.6いま考えていることを教えてください。

近頃は政治の動きに対して、考えるべきこと、知るべきことがたくさんあるのではないかと感じています。SNSで意見を表明している人もいれば、引いてしまう人、無関心な人も多い。それぞれの温度差が大きいじゃないですか。どういう方向にしても、争い事にならずよい方向に進めばいいなと思い、せめて考えるきっかけづくりができないかと、私なりにイラストを描いています。伝えたいメッセージがぱっと視覚的に伝わるのがイラストのいいところ。自分も含め、考えるとっかかりになればいいなと思っています。

   自身のTwitterに投稿したイラスト

 

 

Q.7どんな作品をつくっていきたいですか?

CDジャケットや書籍のデザインなど、生活の中であり続けるもの/生活の中にいつも存在するものをつくっていきたいです。CDや本は、作家やミュージシャンが好きだからこそ手に取り、本棚とか空間の中に収まっていくもの。その中でもお気に入りになれたらいいなとか、例えば引っ越すときにこれは捨てないでおこうって思われるような存在を生み出していきたいです。デジタルが主流になってきているけど、本やCDがある限りはそれを続けていきたい。イラストレーターとしては、大きな画面に描いてみたいです。お仕事だとそういう機会があまりないから、いつか挑戦してみたいです。

 

Q.8告知があれば教えてください。

作品集を出版しました。ポストカードブックで、女の子や植物をメインに描いています。最近、植物を描くのも好きなので。その発売イベントという形で9月に原画展を開催します。水彩絵の具を使って描いた原画は、印刷された書籍とはまた表情が違っているので、ぜひ会場に見に来てください!

http://errandpress.com/info/011

 

とんだ林蘭0724

とんだ林蘭

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とんだ林蘭

とんだ林蘭

アーティスト

“とんだ林蘭”(とんだばやし・らん)という変わった名前のアーティストをご存知でしょうか? 独創的なコラージュ作品や、可愛くも鋭いイラストレーション、アーティストやファッションブランドとのコラボレーションをはじめ、インスタグラムでは9,000人以上のフォロワーが支持する不思議な女の子。そんな彼女がいよいよ「シブカル祭。」に初参戦です!

Q.1最近の活動状況について教えてください。

仕事として受ける作品制作の他に、9/5(土)から中目黒のギャラリーVOILLDで始まる個展の準備を進めています。あと、『VOGUE JAPAN』が主催し9/12(土)に開催されるショッピング・イベント「FASHION’S NIGHT OUT」にチームラボ×MIHARAYASUHIRO×とんだ林蘭のコラボで参加するので、その準備もしています。「FASHION’S NIGHT OUT」ではMIHARAYASUHIROとコラボグッズを作ったり、チームラボの「チームラボカメラ」のフレームを私のアートワークにして、お客さんが私のアートの一部になるというものを作っています。他は、日々好きに作品制作をしていますね。

Q.2現在の活動に至るまでの経緯を教えてください。

もともとファッションが好きで、服飾専門学校へ行き、卒業後にアパレル販売員の仕事をしていました。でも24歳くらいの時になんとなく辞めたんです。その時に何かやりたいことがあったわけではないんですが、ただメラメラ燃えていました(笑)。やりたいことも、できることも無かったけれど、当時まわりに居たひとまわり以上年上の人たちが、自分の好きなことを形にして生活していて、いま思うと彼らの影響があったのかなと思います。とんだ林蘭の名前をつけてくれたレキシの池ちゃん(池田貴史)とか、好きで通っていた浅草の服屋で出会った人たちとか。アパレルを辞めてとりあえず事務の仕事に就いたのですが、仕事が暇で落書きをしてたら、それを見た人から「イラストレーターになったら?」といわれ、最初は仕事にするなんて考えられないし、勉強もしてないし……と思ったのですが、その一言でスイッチが入り、描き始めました。そして、絵やコラージュをTwitterにアップしていったら、知り合いのミュージシャンからフライヤーを作ってと頼まれるようになって、そこから始まったという感じです。

 

Q.3インスタグラムやTwitterなどSNSでも人気のとんだ林さんですが、自分のなかで技法や発表方法による作品の区別はありますか?

線画もコラージュも絵の具の作品も、最近インスタグラム(https://instagram.com/tondabayashiran)に上げているような立体作品も、自分のなかでは境界なく、好きなものを作っています。それから、私はいつも、日常生活を大事にしたいと思っているんです。作品以外に友達との写真などの日常もインスタグラムにアップしているんですが、そういうプライベートも隠さずに出していきたくて。というのは、例えば、スーパーでパックのお肉がたくさん並んでいるのを見て「可愛い!」と思う瞬間があって、それを写真に撮りたくなったりとか。日常のなかで見つける、日常にすごく近い非日常というか、自分にこんなことが起きるんじゃないかなと予感したり、ワクワクする気持ちがすごく好きで、創作の源なんです。

Q.4作品を発表する時に大事にしていることはなんですか?

発表する時は、お客さんが「来てよかったな」と思ってくれることが第一ですね。せっかく足を運んでくれたのに、がっかりさせたくない。もちろんみんなもそうだと思うんですけど、私は自分なりのラインを越えた作品しか出さないです。だからお客さんが来た後にどう感じたのか、どう思ったのかがすごく気になります。

 

Q.5どんな人に向けて、作品を発表したいですか?

どういう人にとか、誰に向けてというのは無いですね。すっごく受け身で、自分から誰かに何かやろうよと誘ったこともない。有名にならなきゃとか大きい仕事をしなきゃとかいう思考も無くて、いいものができれば自然に広がるはずと思っています。まずは自分が作りたいものを作ることがすごく重要だと。もちろん大きい仕事をいただいた時には嬉しい気持ちがありますが、まずちゃんとした作品を制作しなきゃと思います。なので、作品ができるまでは友達にも詳細を言わないです。真面目すぎかもって最近思うんですけどね(笑)。

 

Q.6「シブカル祭。」への意気込みをどうぞ。

普段自分が作っている作品ではなく、「シブカル祭。」だからできることをやりたくて、いま、大きなネオンの作品を出したいと思っています。これはシブカルについて考えたら出てきたアイディアなので、自分だけだったら思いつかなかった。そういうふうに、今回はひとりじゃ思いつかないことをやりたいですね!!

 

Q.7今後の目標はなんですか?

とにかく作り続けることです。根拠のないメラメラ感があって、もっと作品に集中できるよう、環境を変えたいなと考えています。いい物を作るということをなるべく生活の中で考えたいし、第一にできるようにしたいです。

 

DAOKO

DAOKO

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DAOKO

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ラップシンガー

インタビュー第6弾は、赤裸々なリリックとウィスパーボイスで儚い世界観を紡ぎ出し、注目を集めているDAOKOが登場! 「シブカル祭。2013」に続き、2度目の出演になる今年の公園通り広場でのライブと、渋谷について歌ったというシングル『ShibuyaK / さみしいかみさま』について聞いてみました!

Q.1最近の主な活動状況について教えて下さい。

今年3月にトイズファクトリーからメジャーデビューしまして、ラップシンガーという肩書きで活動しています。普段は渋谷を中心に、ライブを行っています。10月21日にメジャー第1弾シングル『ShibuyaK / さみしいかみさま』のリリースを控えているのですが、この歌は「シブカル祭。」の舞台であり、活動の拠点でもある渋谷について歌った曲。発展しつづけている混沌とした渋谷という街の中で感じたエモーショナルな想いや情景を感じたままに綴りました。

Q.2ラップを初めたきっかけは?

中学生の時、インターネットにかなりハマっていて、「ニコラップ」と呼ばれるオリジナルのラップを投稿する独特のジャンルが盛り上がっていました。最近こそすごく身近になってきましたけど、当時は「女子でラッパー」という肩書きで活動をしている人は少なく、今私がやったら注目されるのかもしれない!という気持ちで投稿したのがきっかけです。ガレージバンドで録音した拙い感じの宅録のラップをドキドキしながら投稿したんですが、当時は結構辛辣なコメントも多かったですね。でもそんな中、インディーズのレーベルの方からたまたま声を掛けていただいて、今に至ります。

もともと、やってやるぞ!という強気な性格ではないのですが、実は内に秘めた野望みたいなものがあって、まずはやってみようと思って実際に行動してみたんです。その精神はいろんなところ反映されていて、ほかにも写真を撮ったり、絵も描いてみたり…。興味を持ったらとりあえず行動に移そうというのはあります。

Q.3今の自分に影響を与えた人を教えて下さい。

椎名林檎さんです。デビューされたのが私の生まれた年くらいで、小さい頃からお父さんが車の中でかけていて自然と耳にしていました。それから今に至るまでずっと尊敬しています。

あとは、インディーズ時代にお世話になっていたレーベルLHW?のみなさんです。ラップを始めたのが中学生だったので、多感な時期に人と一緒に何かつくることはとても刺激的でした。この時期は音楽を通じてたくさん友達ができましたし、みんながクリエイターだったので、自然な会話をしていてもクリエイティブな気持ちになりました。

今はメジャーという舞台でやらせていただいているけど、やっぱり自分の感性の根本の部分は変わってないなって思います。昔の曲を聴くと、言葉の使い方は今と違うなと感じるのですが、歌をつくったそのときの感情が手に取るように思い出せる。いろいろな人の影響を受けて成長しながらも、わたしの芯にある物事の捉え方、感じ方はラップを始めた中学生の頃から変わっていない気がします。

Q.4新シングル『ShibuyaK』はどんな曲ですか?

サビで「渋谷交差点」と歌っているのですが、タイトルの『ShibuyaK』というのは90年代に流行った音楽の渋谷系と渋谷交差点の「K」のダブルミーニングなんです。聴いてくれた人の心の中に、渋谷の街のリアルな情景が浮かんでくるような構成を意識しました。スクランブル交差点だったり、センター街だったり、リアルな渋谷の場所の単語が出てくるので、聴きながら実際に歩いてみてほしいですね。

渋谷はよくも悪くも情報量が多い街だと思います。私は仕事でもプライベートでも渋谷に来ることが多くて、もともとこの街には思い入れがあります。この曲には、渋谷をホームに、ここで表現してくんだっていう決意的な意味も込めています。

Q.5女子クリエイターについてどう思いますか?

みんなそれぞれ自己プロデュースがうまいなと思います。特に、同じ土俵で活動いている女子ラッパーさんはすごくチェックしていて。私自身もメジャーデビューしてからは、これまで以上に人にみられる機会が増えたので、どうしたらもっと多くの人に届くのか意識するようになりました。自分の魅力を世の中に発信する工夫がすごく上手なのがいまの女子クリエイターの特徴だと思いますね。

Q.6「シブカル祭。2015」への意気込みをどうぞ。

前回「シブカル祭。」に出演した2013年、あのとき実は初の野外ライブだったんです。外で歌っててもみんな素通りしちゃうんだろうなって不安に思ってたのですが、やってみると意外と人も集まってきてくれた記憶があります。屋外特有の開放感と音の広がりがあって、のびのびライブができました。今回も、見に来てくれる方はもちろん、私のことを全然知らない人にも興味持ってもらえる、いいきっかけだと思うので、そんな人たちにも届くようなライブにしたいです!

あとは、今まではライブ中もキャップを被ったりして、意識的に顔があまり見えないようにしていたのですが、次のシングルのタイミングから、きちんと顔を出していくことにしました。『ShibuyaK』のPVもはじめて顔出しをしていて、それは聴いてくれる方と面を向かってコミュニケーションしていきたいという心持ちのあらわれでもあります。自分の活動の中でもターニングポイントになるでしょう。PV公開後の一発目のライブが「シブカル祭。」なのでお客さんのリアクションも楽しみです!

Q.7今後の目標を教えて下さい。

ライブをどんどん精力的にやって、より多くの人に自分の歌を届けたいです。10月にシングルを出して、日本全国を端から端まで回ってライブをしてみたい。そうやってステップアップしていって、いつかは武道館のステージに立ってみたいです。武道館は限られた人しか行けない場所。選ばれし者じゃないですけど、その限られた一人にならなきゃ、と思っています。

幸洋子07light

幸洋子

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幸洋子

幸洋子

映像クリエイター

インタビュー第7弾は、昨年の「美術手帖presentシブカル杯。2014」でグランプリを受賞し、2年連続での「シブカル祭。」参加となる映像クリエイター・幸洋子さんの登場です。ユニークなアニメーション作品で多数のコンペに入選するなど、注目を集める幸さんの素顔に迫ります。

Q.1現在の活動状況について教えてください。

現在はアニメーション制作会社の所属クリエイターとして、映像制作をしています。会社で受ける仕事と個人で受ける仕事があるのですが、最近だとフジテレビ「みんなのニュース」という番組で、つるの剛士さんが歌う「セミ♂ロック」という曲のアニメーションを担当したり、お菓子「ポリンキー」のウェブアニメーションに参加させていただきました。それから、9月に発表された映像制作グループONIONSKINさん監督の、ゲスの極み乙女の「無垢の季節」のPVのアニメーションに参加したりました。

セミ♂ロック

Q.2現在の活動に至るまでの経緯を教えてください。

東京藝術大学大学院のアニメーション専攻で2年間アニメーションを学び、今年の春卒業しました。

大学院の前は大学で写真、映画、CG、サウンド、インスタレーションなどの授業で、映像にまつわることをいろいろと学び、インスタレーション専攻ゼミというところに所属していました。アニメーションの授業はなかったので、最初は知識がなにもなく、ライトボックスで透かして描くということも知らなかったし、連続して見えるよう順番に絵を描くこともどうやったらいいのかわからなくて……めんどくさそうだなと思っていて、それで人体を描いて重ねていったものを撮影したら、なんか面白い映像ができたかもしれない…となり…アニメーション作品を作るというよりも、絵を使って映像を作っているという感覚でした。

当時は、インスタレーション展示用に作品を作っていたので、作品が映像のコンペティションなどで入選しても、上映会で観てもらうのには向いてないなと感じてました。お客さんが座ってじっくり観るのに合わない作品だったんです。それで、ストーリーのあるわかりやすいものも作れるようにもなりたいし、アニメーションについてもっと知りたいなと思い、東京藝術大学の院に進みました。

Q.3最近の受賞作品はなんですか?「シブカル杯。」の影響はありましたか?

最近ですと、下北沢映画祭という映画祭で大学院修了制作の「ズドラーストヴィチェ!」という作品が、急遽その場でできた審査員特別賞をいただけてラッキーでした(笑)「シブカル杯。」の影響は、大学院の修了制作展に来てくださった何人かに、シブカルで観ましたと声をかけていただけました。シブカルはいろいろな人が来場するので、観てくれる層が広がったのかなと感じます。

Q.4今の自分に影響をあたえた人や作品、出来事はなんですか?

難しくて、いつもどう答えるか迷っちゃうんですけど……特に意識はしてないですが、ビートルズのアニメ映画「イエローサブマリン」や、「うる星やつら」、「ルパン三世」とかは、よく親に見せられてました(笑)。高校はうる星やつらみたいな世界だと思ってたくらい。ああいう愉快な感じが好きで、観る人が愉快になるものを作りたいですね。作ってる自分も楽しくなって、描きながら笑ってることもよくあります‥

あとは、さくらももこさんのエッセイの表紙が大好きで、小学生の頃によく読んでいました。

Q.5作品を発表するときに大事にしていることはなんですか?

発表する場所が決まっていて作る場合は、例えばシブカルに限定すると、映像作品のような時間軸のあるものを展示する時って、どうしても最後まで見てもらえないことは多いと思います。特にシブカルは周りにいろいろな作品もあるし、派手だし……。なので、通り過ぎないで見てもらえるにはどうしたらいいんだろうっていうのはすごく考えます。結果、派手になってしまうんですが……数分だけ立ち止まってみてほしい(笑)。

2014 シブカル杯。

Q.6作品をどんな人に観てほしいですか?

とにかくいろいろな人に観てほしいですね。アニメーション上映会や映画祭だと、それを好きな人しか観に来なかったりするので。それはそれでいいと思うけど、もっと気軽にいろいろな人に観に来てほしいです。

Q.72度目の参加ですが、「シブカル祭。」の印象は?

去年初めて参加した時は、人数多!って思いました(笑)。すごくパワフルで、こんなにいろいろ作ってる女の子がいるんだって知りました。搬入の時とか、周りの出品者のパワーにビビりながらやっていました(笑)。

Q.8渋谷はどんな印象ですか?

上京するまでは、渋谷の印象が完全に漫画の『GALS!』でした(笑)。渋谷って漫画とかドラマによく出てくる街なので、地元の愛知に居た時は、例えば渋谷で事件が起こってもあまりリアリティがなかった。でも東京に来たら、一段階現実世界との層が剥がれたような‥不思議な気持ちになりました。あと、90年代の渋谷で遊びたかった。めっちゃ楽しそう。あのギラギラした感じを体験してみたかったです。あの頃に比べるとあんまり今は元気ないのかなあって思います。

Q.9「シブカル祭。」への意気込みをお願いします!

シブカルに出すからには、シブカルだからこそというか、お祭り感があって、ぷりぷりとにぎやかでめでたい作品にしたい。でも、シブカル内に納まりきらないようなものを作りたいですね!

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くいしんぼうシスターズ

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くいしんぼうシスターズ

くいしんぼうシスターズ

ケータリングユニット

音楽ファンならライブ会場で見かけたことがある人も多いのではないでしょうか? ポップで愉快なごはんから、ほっと安心できる家庭の味まで、その幅広い食メニューでじわじわと人気を集めている2人組。実は管理栄養士という一面も持つケータリングユニット“くいしんぼうシスターズ”のユキさんとナオさんにお話を伺いました。

Q.1現在の活動に至るまでの経緯を教えて下さい。

ユキ:私たちは栄養大学時代の同級生なんです。シブカルにも参加してて有名になったDJみそしるとMCごはんさん(以下・みそ先輩)が大学の先輩で、先輩が卒業制作でお料理ラップを初めて披露した時に、衝撃を受けてしまって。

ナオ:すぐに2人で「今度何かする時はぜひお手伝いさせてください!」とお願いしました。そしたらさっそく、みそ先輩の次のライブで、助手「おまんじゅうシスターズ」として登場させてもらいました。

ユキ:黒子的に何度かお手伝いしているうちに、音楽業界の方々とお話をする機会が増えて、「栄養大学に通っていて料理もできます」って話をしたら、「じゃあ今度、ライブのケータリングをやらない?」ってお誘いいただき、ケータリング活動を始めました。

Q.2現在の活動について教えて下さい。

ユキ:ライブハウスなど、主に音楽関係のイベントに出店することが多いです。バンドの方や、ライブハウスの方のつながりで、いろんなところからお声がけしてもらえるようになりました。

ナオ:料理メニューは、「私たちはコレ!」と決め込んでいなくて、そのイベントのテーマに関連づけたり、そのとき自分たちが影響を受けたものを自由に作っています。

ユキ:新宿MARZのALPSというイベントでマッサマンカレーを作った時は手応えを感じましたね。リピーターが続出して、単純に嬉しかったし、おいしいものができたっていう自信になりました。

ナオ:私はブリ大根を作った時が印象に残ってます。ライブハウスでブリ大根!?ってみんな驚いてくれるのが面白かった。ライブ会場に、おふくろの味の匂いがぷんぷん漂ってたのは不思議な感覚でしたね(笑)。

(右)くいしんぼうシスターズのブリ大根 (左)くいしんぼうシスターズのマッサマンカレー

Q.3今の自分に影響を与えた人物を教えて下さい。

ユキ:みそ先輩です。私たちふたりとも、音楽好き、料理好きで、なかなか結びつかないその2つを融合させたみそ先輩は画期的だと思います。あと、ケータリングをやりたいって思ったのは、ケータラーの山フーズさんの影響もあります。

ナオ:みそ先輩ももちろんだし、今の活動のきっかけとしてはユキちゃんの影響がすごくあります。ケータリングについて何も知らなかった私を誘ってくれたことに対して、すごく感謝してます。

Q.4今考えていることはなんですか?

ユキ:音楽だとテクノとかジューク、フットワークにすごく興味があります。あとはライオンにお肉をあげること(笑)。『おさるのジョージ』という絵本のライオンにお肉をあげるシーンが突然フラッシュバックしてしまって、最近は、そればっかり考えています。この前、餌やり目的で動物園に行ったのに、遅い時間だったからか挑戦できずだったので、リベンジしたいです。

ナオ:私は、自給自足生活です。都会のビル群が得意ではなくて、田舎で農業したいって憧れがあります。でもきっと自給自足生活の中で「管理栄養士」って必要ないんですよね。その時季に採れるもので最低限の暮らしをするから、メタボとか糖尿病になることも少ないはず。管理栄養士としてはちょっと複雑ですが、勉強になる部分はたくさんあると思います。あと、長田弘さんの詩集がすごく好きです。読んでいると哲学的で思わず考えさせられてしまいます。

Q.5活動する上で意識していることはありますか?

ユキ:栄養士だから、やっぱり衛生面にはとても気をつけています。安心して食べてもらうためには、知らなきゃいけないことがたくさんあるなって実感していますね。あとは料理に私たちの目印をつけること。旗を立てたり、包装紙にスタンプを押したり。テーブルを装飾して、出店ブース自体の見栄えも工夫するようにしています。

ナオ:栄養について勉強してきたけど、必ずしもそれだけが正しいとは限らないって思うようになりました。大学で学ぶ栄養って、いわゆる体の栄養のこと。科学的な部分が大きいんです。五感のなかの味覚って一番曖昧な感覚なんですよね。誰と、いつ、どこで食べるかで、おいしいかどうかが左右されるじゃないですか。楽しかったらやっぱりおいしい。だから体の栄養だけでなく、そういう心の栄養もちゃんと意識したいなって思います。

Q.6「シブカル祭。」についての印象を教えて下さい。

ユキ:シブカル祭。に出ることが本当に夢だったんです! さまざまな方面の人たちの個性がぐちゃぐちゃしてるのにひとつに集まって、自分の持ち味を出しながらキラキラ輝いている印象。だから本当に嬉しいです。

ナオ:WEBサイトにプロフィールが掲載され、“クリエイター”として紹介されたことに感動してしまいました。「ク、ク、ク、クリエイター!!」って。私たち自身は普通の子として、雑草みたいなものだって思っていたので、植木鉢に植えてもらえたような気分です。

ユキ:お陰さまで、一段階うえの自信や誇りが持てました。“フードクリエイターのくいしんぼうシスターズ”としてこれからももっともっと頑張らないと!

 

 

Q.7今後の目標を教えて下さい。

ユキ:音楽×料理の可能性は探っていきたいです。食材を切る、煮る、焼くときの音を録って何かできないかなとか考えています。たとえば調理映像と合わせたVJとかも面白そう。

ナオ:ワークショップもやってみたいです。私は保育園で働いていて、食育で子どもたちと一緒にごはんを作ったりするのですが、苦手な食べ物でも気持ちがこもると食べられちゃうんですよ。それってきっと大人に向けても言えることだと思います。子どもから教わることは本当に多いですね。

ユキ:ワークショップいいね! みんなでうどん踏んだりしても楽しそう! あとは売り歩きしてみたいですね。駅弁売りとかビールの売り子みたいな感じで、いろんなところを旅するのもいいかも。

ナオ:シブカルに参加したことで、音楽とはまた違うつながりも持てるのではないかと楽しみにしています。根本的には、食べながらしっかり栄養を摂れて健康になれるような活動をしていきたいです。ビバ・健康! ビバ・栄養!

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ファッションブランド

『coromoza デザイナーサポートコンテスト』にてグランプリ を受賞し、今年スタートしたばかりのファッションブランドtatoe(たとえ)。今回はシブカルファッション市(マーケット)にて、展示即売会を開催中です!(渋谷パルコ PART1・3F パルコミュージアムへ急げ!!) それでは、今もっとも注目を集めるファッションデザイナー 二階堂梨花さんへのインタビューをどうぞー!

 

 

Q.1活動状況について

先シーズンからブランドがスタートしたばかりですが、6月に原宿にあるコワーキングスペース コロモザ(coromozaで行われた、若手ファッションデザイナーのサポートと育成を目的とする「coromoz デザイナーサポートコンテスト」にて、授賞式とお披露目会を行いました。その後、ブロックハウス(BLOCK HOUSEのギャラリースペースにて展示・受注会を行いました。あと吉祥寺にあるセレクトショップ とじこみ(tojikomiでも、委託販売しています。

Q.2どんなブランドですか?

わくわくしたり、気分が高揚したり、鳥肌がたったり、服を通して私の思いを感じ取ってもらえるような、人の心を動かすものを作りたいと思っています。たまにはこういったインタビューで言葉にしたり、展示会に来てくれた人に直接説明したりするのもいいんですけど、基本はすべて服で伝えるのが理想です。ブランドコンセプトにもありますが、私の想いを“暗号化=服にする”イメージ。自分の想いをすべて出し切った結果、私という存在を消した上でできあがるのがtatoe(たとえ)の服です。

Q.3現在の活動に至るまでの経緯を教えてください

もともと手を動かしてものを作るのが好きで、高校生の頃は美術部に所属していました。平面の作品を作ることが多かったのですが、もっといろいろな形で表現をしていきたいと思うようになり、服飾系の学校に興味を持ち始めました。ちょうどその頃に応募した『高校生デザイナーコンテスト』で賞をいただいて、コンテストの主催でもある文化服装学院の文化デザイン専攻科に通うようになりました。在学中は、早稲田大学の生徒を中心としたサークルSen-i(繊維研究会)ANREALAGE(アンリアレイジ)でのインターンなど、学外での活動も今につながっていると思います。ただ縫うだけではなく、ひとつのコレクションを作り上げていく過程を学ぶことができました。その後も、他のコレクションブランドで縫製の仕事に携われたこともtatoe(たとえ)をスタートさせる大きなきっかけのひとつですね。

 

Q.4今の自分に影響を与えた人はいますか?

祖母と母が洋裁や編み物をたしなんでいたので、幼い頃から手を動かしてなにかを作るという作業が身近にありましたね。もう少し大人になってからは、高校生の頃に初めて見たコレクション、ジョン・ガリアーノ(John Gallianoの世界観に憧れました。まさにファンタジーという感じで。

 

Q.5今シーズンのコンセプトは?

今シーズンは“花”をテーマに制作しています。一輪の花がそれぞれに形や色が違うように、無造作な動きやフレアなど均等ではないデザインを花からインスピレーションを受け服に落とし込んでいます。

 

Q.6今後どのように活動していきたいですか?

もともと着飾るのが好きと言うよりは、洋服を”見る”ことが好きでした。なので、今はまだ見るものとしてのアプローチが強いですが、ブランドを始めたからには、”着る”ことも大事にしたいと思っています。まだ2シーズン目ですが、まずはもっとたくさんの方々にブランドのことを知ってもらえたらな。と思います。みなさん是非会場にいらしてください。